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ロア~奇妙な伝説~ さらわれる女たち

AMAZONオリジナルドラマ ロア~奇妙な伝説~ ep3 さらわれる女たち がめちゃくちゃ胸クソ悪かった件。

チェンジリングの妖精が狙った人間(おもに女や子ども)にそっくりな姿で入れ替わり、誘拐して妖精の世界に連れ去ってしまうという迷信が一部で信じられていたアイルランドにて1895年に起こった実際の事件をもとにした内容。

妻(ブリジット・クリアリー)に稼ぎがありオシャレで活動的なのを気に食わなかった夫が「自分が殺したのは妻ではなく 妻になりすました妖精だ」と尿と灰でできた民間療法のマズイ薬を親族の男連中に押さえつけさせて飲ませて苦しめたあげくに、やっぱり本物の妻ではないといって焼殺してしまう。

ブリジットの最期の台詞は

私はあなたと結婚した女よ、これからもずっと。
でも私はチェンジリングでもあなたの奴隷でもないわ。

妻が自立して楽しんでいたのを気に食わなかった夫が「本当の妻はこんなんじゃない」と妖精を苦しめるふりしてDVの果てに殺したのではないか…と含みを持たせるような救いのない終わりだった。焼き殺した妻の遺体を沼に放置して、「ほんとうの妻」が白馬に乗って戻ってくるのを待っている様子は 罪を軽くするために敢えてそう迷信を信じているふりをして演じているのか、心からそう思っているのかあいまいにしてる感じがまた後味悪い。

この感じどっかで読んだことあるなと思ったら、セーラム魔女裁判だった。

告発された者は、手足を縛られ、重い石をつけられて水の中に放り込まれる。体が水に浮けば、魔女だと証明され、別の方法で処刑される。沈めば無実だということになるが、誰でも沈むに決まっている。

  どっちにしろ殺されるやつ…告発された時点で詰んでる。

セーラム魔女裁判で実際に行われていた魔女を見分ける10の方法 : カラパイア

途中にあった、フランク・バトラーが15歳の少女アニー・オークリーに射撃で負けたけども恋に落ちて結婚して以降は助手となり彼女を“私の天使”と呼んで全国巡業しながら連れ添ったエピソードだけが救いだった。射撃名人のアニー・オークリーは19世紀初の女性スーパースターになった。一部ではフランクはアニーの才能と名声に嫉妬していたと書かれていたみたいだけど、嫉妬してたら“私の天使”なんて呼ばないだろうし アニーが亡くなったあと食事を絶って後を追うようにフランクも亡くなったらしいし本当に大事にしてたんだなぁ。

「さらわれる女たち」は全体的に暗いし胸クソ悪いし救いがないけど、個人的には色々考えさせられたので観てよかった。

火星の人/アンディウィアー

火星の人読んだ。ブログを読んでいるような感じでめっちゃ読みやすい。  

火星の人

火星の人

 

もしサブタイトルをつけるなら「火星の人~マーク・ワトニーの受難~」ってくらい最初から最後までトラブルだらけ。あらすじは

1.マーク・ワトニーが火星に置き去りにされる

2.途中色々なトラブルにあう

3.マーク・ワトニーが助かる

でハッピーエンドだとわかってても 途中のトラブルが毎回絶体絶命すぎてハラハラして最後まで気を抜けない展開。むしろこの状態からどうやって生還するの??の連続。

あと評判通りワトニーくんがとってもポジティブで建設的思考のナイスガイ。
火星に置き去りにされた翌日

“さてと、ひと晩ぐっすり眠ったら、状況はきのうほど絶望的ではないような気がしてきた”とか
“いやもう、すこぶる順調! 生きのびられる可能性が出てきたぞ!”の次の日には
“最悪だ。もう死ぬ!  よし、おちつこう。絶対なんとかなる”

と書いていたり感情表現がストレートで切り替えが早い。ワトニーに自己啓発本書いてほしいレベル。
しかしポジティブな点だけでなくて 最悪の事態に対しても

“医療エリアには緊急時用のモルヒネもある。致死量を超える量だ。正直にいって、飢えてゆっくりと死んでいく気はない。そのときがきたら、楽な方法を選ぶつもりだ”

“もし失敗したら(中略)純粋な窒素を吸って、窒息死するのだ。苦しくはないはずだ。肺には酸素不足を感知する能力はないから、ただ疲れて、眠りに落ちて、死ぬことになるだろう”

 など想定していて シリアスな場面もあったり
暇つぶしのために仲間の置いていった私物をあさって悪態ついてるユーモラスな場面があったり 生き残るために必要な水や酸素や食料を計算するサイエンスな過程だったり 救出にいく仲間の覚悟や友情など、全部のバランスが良かった💮💯

映画版も観たいな。オデッセイって単語1度も出てこなかったけどなんで映画版邦題が「オデッセイ」なんだろ。ミニバンみたい。「火星の人」だと「仮性の人」ってパロディAV作られそうだから??
読んだあとは ふかしたじゃがいもをいっぱい食べたくなることうけあいの一冊(*´﹃`*)

早川書房 海外SFセール祭りだ~~~

早川書房電子書籍 海外SF50%OFFセールをやっているのでラインナップの中からライトなSF好きのわたしが 既読でオススメのもの/買ったけど積んでるもの/買おうと思ってるものをそれぞれリストアップしようと思います。本格的なゴリゴリ宇宙メカニックSFよりも、設定がSFだけどあんまり宇宙宇宙してない感じが好きです。

既読でオススメの作品

  • あなたの人生の物語

    表題は映画メッセージの原作。宇宙人と意思疎通を試みるうちに意識が変わっていく言語学者の話。宇宙人の造形が謎で映画ではどう表現されてるのか不思議。
  • 夏への扉

    バックトゥザフューチャーの元ネタとも言われている。猫がかしこくてかわいい。
  • タイタンの妖女

    爆笑問題太田がオススメしていた。爆笑問題の事務所「タイタン」を名付けるもとになったらしい。聖書のアルファベット順に会社の株を買ってたら大金持ちになったというエピソードが印象的。全体的にシニカルな雰囲気。

買ったけど積んでる作品(をさも読んだかのようにすすめるよ)

今回のセールで買った/買おうか迷ってる作品

  • 火星の人

    映画オデッセイの原作。火星に置き去りにされたワトニーくんがめちゃくちゃポジティブという噂を聞いていたので興味あった。今回セール対象だったので即ポチ。

以下買うか迷ってるもの↓

  • 第六ポンプ

    Twitter飛浩隆先生がSF創作講座の課題に指定していた。アジアを舞台にしたダークでエグいディストピアらしいから興味津々。「フルーテッドガールズ」という身体を楽器に改造された姉妹の短編が面白そう。

バーナード嬢曰く。」の神林によると、新訳の(表紙が黒い)ほうは旧約と比べて読みやすくなったしページ数が大幅に減ったらしい。

今回のセールでSF好きがそれぞれ自分のすすめる作品を色々と挙げているのでそれを参考にしながら買う候補を迷うのも楽しい。セールは11/20までなので何を買い足すか吟味しよっと。何買うか迷う時間も楽しいんだよなぁ〜